異界からみる『1Q84』の主人公らの「心」
日本の作家として、村上春樹は数多くの文学賞を取り、この数年間もノーベル文学賞の候補人として注目されている。日本国内だけでなく、村上文学は日本国外でも人気が高く、柴田元幸は村上を現代アメリカでも大きな影響力を持つ作家の一人と評している。現在、村上文学研究も盛んになる一方で、文体の特徴や歴史観とか、いろんな面について論じることがあるが、小説の中の「異界」に着目する研究はまだ少ないのである。その方面の研究に関係する代表は林少华、上沼昌雄、藤掛明、谷口和一郎などの専門家である。
「異界」という非現実な世界が村上春樹の小説には必ずと言っていいほど出てきます。「異界」はもう村上文学の不可欠の要素となり、『1Q84』、『羊をめぐる冒険』、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺カフカ』の中で描かれている。それは何の象徴性があるのか、主人公の世界にいかなる現実意味があるのか、また、どう分析すればよいかなどのは筆者研究の課題となっている。
以下、筆者は近年正式的に発表された関係する中日論文を調べ、宗教と非宗教の視角の分類で簡単に紹介したいと思う。
一
林少华は村上文学の翻訳者で、村上文学をよく知っていると言ってもよい。林少华は『落花之美』は、村上文学の「異界」は文学の芸術を表しているということを解説した。村上春樹はアレゴリー(寓意)、メタファー(隠喩)の手法を運用して『1Q84』、『羊をめぐる冒険』、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺カフカ』などの奇異な色彩に富んでいる作品を作った。しかし、そのメタファー(隠喩)に何の意味があるか、林少华ははっきり言わなかった。また、『之于村上春树的物语:从《地下世界》到《1Q84》』の中で、林少华は『1Q84』の「固有的な物語」、「固有的な自我」、「精神の穀」を分析し、『1Q84』が閉鎖性物語を作った主体を抜きにしてこの長編小説の社会認識価値と現実批判の強さを弱めることを指摘している。
王玥の『「単一神話論」で読む村上春樹』は『1Q84』、『羊をめぐる冒険』、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺カフカ』を対象として、単一神話構造の典型的な要素を発掘し、各要素の表現と心理学上の意味を分析する。日本学者大塚英治
によると、『羊をめぐる冒険』をはじめ、村上春樹の小説はキャンベルの神話論に準拠して導き出されたものである。王玥は大塚英治の研究に基づいて、独自の見解を述べる。
浜田真理の『村上春樹の小説にあらわされた空間について』は村上春樹の長編小説の物語の空間構造の方面から分析し、現実世界を第1象限と捉えるなら、異界は第2象限に相当する。それによって、物語として表現された空間構造がよ立体的なものとなった。
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